英語で「病院に行く」と言うとおおげさに?

みなさんは普段から「病院行く」という表現をよく使っているのではないでしょうか。

この表現、実は、英語でそのまま直訳してしまうと、かなり大げさになってしまうので注意が必要なのです。

今回は英語での「病院に行く」という表現について、解説していきます。

目次

英語での「病院」というニュアンス

“I need to go to the hospital.”

「病院にいかないと。」

英語で「病院」つまり “hospital” というと、大きな病院を想像されてしまいます。

大きな病院というと、例えば大学病院のような紹介状が必要な専門医集団の病院で、入院はもちろん、救急やドクターヘリ、高度医療などが行われる、そんな病院のイメージです。

つまりそれくらい容態が良くない、精密検査が必要といった深刻さが伝わることになります。

これが大げさに伝わることの要因です。

日本で言うところの「病院寄ってから出社します」の「病院」は、町医者や診療所がほとんどで、英語では “clinic” の表現のほうが合います。

もちろん、本当に大学病院のような病院に寄ってからという場合もありますので、大事なのは、行くのは「病院」なのか「診療所」なのかはっきりすることです。

Bring your baby to the clinic and we’ll take a look at her.

「赤ちゃんをクリニックに連れてきてください。私たちが診察します。」

英文の引用元:Cambridge English Dictionary “Clinic” (https://dictionary.cambridge.org/ja/dictionary/english/clinic)

勘違いされる理由

ここでは、イギリスやオーストラリアを例に解説します。

これらの国では、病院に行く前にはまず、 “GP” という診療所に似た医療機関にかかる必要があります。

“GP” は “General Practitioner” の略です。

厳密には “GP” は人をさしますが、診療所と同じように理解されます。

Cambridge English Dictionary の “GP” の定義を見てみるとこれが明確です。

“Genera Practioner” という人の定義と、その人が行う “General Practice” という行為の定義をみてみます。

“General Practitioner”

a doctor who provides general medical treatment for people who live in a particular area:

「特定の地域の人に医療行為を提供する医師。」

英文の引用元:Cambridge Dictionary (https://dictionary.cambridge.org/ja/dictionary/english/general-practitioner)

“General Practice”

the work of a GP (= a doctor) who treats the people who live in the local area and treats conditions that do not need a hospital visit

「General Practitioner(医師)がその地域の人々に対して行う医療行為で、病院に行かなくて済むような症状を治療する行為。」

英文の引用元:Cambridge Dictionary (https://dictionary.cambridge.org/ja/dictionary/english/general-practice)

辞書の定義の通り、GPにかかり、GPで済むような病気や症状であれば、そこで処方箋を出してもらったりして、基本的には終わります。

GPが専門医を紹介したり精密検査が必要と判断する場合、病院や専門医療機関にかかれるよう紹介状を出してくれます。

日本では中規模の入院や救急の扱いがあるような、いわゆる中核病院で、紹介状が必要ない病院もありますが、これらの国ではまずGPにかかる必要があります。

留学中の実体験

ここからは留学先での筆者が “GP” にかかった実体験を紹介します。

私はオーストラリア留学中にサッカーで椎間板ヘルニアになりました。

この時は、まずGPに行き、物理療法の専門機関を紹介されました。

数ヶ月経ってもよくならなかったため、再度GPにかかりました。

そこで初めて、レントゲンやMRIなどの画像診断をしてくれる専門機関と整形外科への紹介状をもらうことができました。

日本のように、紹介状がいらない中規模の病院で画像診断ができ、かつ、整形外科があるような病院がなく、別々の機関になるため手間がかかりました。

画像診断の機関は市内にありましたが、整形外科は郊外にありました。

ちなみにその整形外科の医師は、オーストラリアのオリンピックチームに同行しているような経験豊富でとても明るい方でした。

余談ですが、その当時、私がかかった画像診断の専門機関では、整形外科に画像を連携する機能がありませんでした。

そのため、画像を自分で整形外科に持っていく必要があると言われ、DVDかCDのようなものを渡されると思っていましたが、実際は、印刷された大きなフィルムを自分で持ち込む必要がありました。

大きいスーツケースにやっと入るほどの大きさでした。

日本に帰国した際にも整形外科にかかったのですが、その際に印刷された画像を持ち込み、少し驚かれました。

GPの目的

もうお気づきのかたも多いと思いますが、GPというのは、病院と診療所機能の棲み分けを実現するための手段で、医療逼迫を予防する目的があります。

医療サービスの効率かつ効果的な提供の実現も可能になります。

日本のように病院が直接多数の外来を診る必要がないため、病院は専門領域や高度治療の時間を保てるというわけです。

少し不便に感じるところもありますが、全体最適化のためには必要な仕組みだと感じました。

まとめ

本当は診療所にいくくらいの話でも、英語で「病院に行く」というと大げさに聞こえてしまいます。

“Clinic” や “GP” に行くか、それとも大きな “hospital” に行くのか区別して話すようにしましょう。