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航空学 航空法

帰国子女でも理解できた 日本の航空法の勉強方法

投稿日:2019年03月02日 更新日:

今回は航空法を勉強したいという方に、私が実践した勉強方法をお教えしたいと思います。

私はオーストラリアへ留学し、学士課程と修士課程で航空学や航空管理学を専攻しました。

航空法も科目の一つとなっていたため、勉強しましたが、オーストラリアで学ぶ航空法の主な対象はもちろん、オーストラリアの航空法でした。

日本の航空法は、航空業界に入る時に独学で勉強し、知識を身につけました。

知識はもちろん完璧ではないので、日々勉強を続けていますが、当初に取った勉強方法と教材について紹介します。

この勉強方法で業務で必要な知識を身に着けることができました。

陥りやすい罠

最初に一番重要なことを書きたいと思います。

航空法の条文は非常に多いです。

そのため全ての条文を暗記したり理解することは不可能です

この点を理解しておくことが、一番大事です。

法の全てを理解しなくは!という認識は捨てたほうがよいです。

では、どうすればいいのでしょうか。

当たり前のことなのですが、重要なのは航空法を勉強する目的を明確にすることです。

目的を明確にすることで、航空法の何を勉強しなくてはいけないかが特定でき、これが航空法理解への近道になります。

例えば、操縦士を目指すのであれば、技能証明の申請に関わることや、航法など飛行機を飛ばすのに必要な条文を理解できればいいですね。

事業計画を担当するのであれば、事業計画に関わる申請手続やそれに伴う審査等に必要な条文を理解すれば良いです。

安全管理に従事するのであれば、操縦士の技能証明申請に関わる内容というよりは、安全管理規程の要求事項が定められている条文を理解することがより大事になりますね。

このように自分に何が必要かを明確にすることで、さほど関係の無い条文の理解に振り回されることがなくなり、時間を有効に使えるようになります。

勉強方法

まず、ツールの紹介です。

このツールは勉強だけでなく、実際の業務でも使えますので勉強が終わって使い道がなくなり捨てる、という必要はありません。

私が使っているのは、シンプルにこの本一つです。

鳳文書林出版販売(株) 発行の「航空法」です。

「航空六法」から航空法、同施行令、同施行規則等を抜粋した本書は、航空機運航に関する基本法を収録した書籍です。航空従事者国家試験受験用及び航空業務などに活用されています。

鳳文書林出版販売

航空法 平成30年7月1日現在―航空法施行令・航空法施行規則・航空法関係手数料令

毎年の7月までの法改正の内容を含み、12月に発売されています。

この本が使いやすい理由は下記があります。

①条文の改正履歴を確認できる

②航空法と航空法施行規則の関係が明白

航空法の章立てを意識し、航空法⇒航空法施行規則という流れでその対象のみをまずは理解するようにしましょう。

具体例

簡単ですが、私が取り組んだ勉強方法の例を紹介します。

例えば、航空法の第7章 航空運送事業等 を勉強するには下記の流れのように勉強しました。

①まず、章全体の流れをつかむ 条文毎の見出しを流し読みします。

例えば、「許可⇒許可基準⇒運航管理施設等の検査⇒輸送の安全性の向上⇒安全管理規程等⇒運航規程及び整備規程の認可」という感じです。

これだけで、冒頭の法的な要求事項の「想像」ができます。

「許可を得るには、許可基準があり、施設の検査、安全性の向上のため安全管理規程の設置、運航規程及び整備規程の認可を受ける必要があるのか。」という感じですね。

②次に、実際の条文の中身に入っていきます。

私が取った方法としては、法の条文を次から次へ読むのではなく、施行規則等への呼び出しがある場合、必ずそちらを確認し、条文全体の内容を理解したうえで、次の条文に進みました。

例えば、

(運航規程及び整備規程の認可)

第百四条 本邦航空運送事業者は、国土交通省令で定める航空機の運航及び整備に関する事項について運航規程及び整備規程を定め、国土交通大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様である。
2 国土交通大臣は、前項の運航規程又は整備規程が国土交通省令で定める技術上の基準に適合していると認めるときは、同項の認可をしなければならない。

上記の条文の理解は、エアラインは航空機の運航や整備に関する事項を運航規程と整備規程に定め、国土交通大臣の認可を受ける必要があるということですが、その詳細については、国土交通省令に定めるとなっています。

ツールの本では、航空法施行規則が呼び出されていますので、こちらに飛びます。

(運航規程及び整備規程の認可申請)

第二百十三条 法第百四条第一項の規定により、運航規程又は整備規程の設定又は変更の認可を申請しようとする者は、次に掲げる事項を記載した運航規程設定(変更)認可申請書又は整備規程設定(変更)認可申請書を国土交通大臣に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所
二 設定し、又は変更しようとする運航規程又は整備規程(変更の場合においては、新旧の対照を明示すること。)
三 変更の認可の申請の場合は、変更を必要とする理由


(運航規程及び整備規程)
第二百十四条 法第百四条第一項の国土交通省令で定める航空機の運航及び整備に関する事項は次の表の上欄に掲げるとおりとし、同条第二項の国土交通省令で定める技術上の基準は同表の上欄に掲げる事項についてそれぞれ同表の下欄に掲げるとおりとする。

施行規則では、認可申請の方法や運航規程及び整備規程に記載すべき内容がより詳しく定められています。

申請の内容は簡単です。読めば理解できます。

規程の内容は、ここでは割愛していますが、別表が第二百十四条の下にすぐ記載されていますので、ここを読み、内容を「理解」します。

ここまで行けば、航空法 第7章 航空運送事業等 のいわゆる100条申請の運航規程及び整備規程について理解ができました。

このように、全体の構成から施行規則の具体的な要求事項を体系的に理解するが大事です。施行規則の細かい条文だけを覚えていてもなぜそれがあるのかというところが見えなくなってしまいます。

上記の例では運航規程及び整備規程を紹介しましたが、安全管理規程についてはどうでしょうか。きっと同じような体系になっていますよね。

体系的に理解することで、同じような考えで他の条文の理解にもつなげることができます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

航空法の勉強の参考になれば幸いです。

ツールは一つ。

大事なことは、

航空法を学ぶ目的を明確にして、必要ない条文に時間をかけすぎないこと。

章ごとの「流れ」を意識して見出しを読み流して概要を理解し、次に、条文の中身に入ること。一つ一つ施行規則の条文も理解していくこと。

少しでも悩まれている方へのアドバイスになればよいのですが。

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