【航空法解説】航空法の構成

航空法(昭和二十七年 法律第二百三十一号)を勉強したいという人向けの解説です。2020年4月27日時点の内容です。

航空法の内容を解説するに当たり、まず、法律の建付けを解説します。

法律の建付け

日本の法体系は、憲法、条約、法律、命令、政令、省令、条例のピラミッド階層で制定されています。

憲法:国の最高法規です。法令は憲法から逸脱した内容は定めることができません。

条約:国と国の間で結ばれるものですが、公布されることにより国内法としての効力が発生します。

法律:国会の議決を経て制定される、国の規範です。憲法の第四十一条に「国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。」と記載されています。また、第五十九条には「法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。」と記載されています。「航空法」はこれに当たります。

命令:行政機関が制定する規範です。内閣府が定める「政令」と大臣が定める「省令」があります。いずれの場合も、法律では定めていない細かい部分を定めています。

  • 政令:内閣府が制定する命令です。例えば「航空法施行令」はこれに当たります。「航空法施行令」の冒頭には「内閣は、航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)の規定に基き、この政令を制定する。」と記載されています。
  • 省令:大臣が制定する命令です。例えば「航空法施行規則」はこれに当たります。「航空法施行規則」は「昭和二十七年運輸省令第五十六号」であり、当時の運輸省の大臣である運輸大臣によって制定されました。現在は国土交通省の国土交通大臣によって制定されます。令和に入り改定され最終更新は、「令和元年九月十三日公布(令和元年国土交通省令第三十四号)改正」となっています。

例えば、航空法の第9条は「命令への委任」となっており、「第九条 航空機登録原簿の記載、登録の回復、登録の更正その他登録に関する事項は、政令で定める。2 航空機登録証明書及び登録記号の打刻に関する細目的事項は、国土交通省令で定める。」というように詳細を命令で定めています。

条例:地方自治体が定める地方の規範です。法律から逸脱した内容を定めることはできません。

参考:株式会社みらい「法律等を読み解くうえで必要な基礎知識

航空関連の法令

航空に関する法令は、下記の内容にとどまらず、多岐にわたります。いずれの場合も前述通りの建付けになります。

・航空法:法律

・航空法施行令:政令

・航空法施行規則:省令

・航空機登録令:政令

・航空機登録規則:省令

・運輸安全委員会設置法:法律

・運輸安全委員会設置法施行令:政令

・運輸安全委員会設置法施行規則:省令

・空港法:法律

・空港法施行令:政令

・空港法施行規則:省令

なお、当内容は筆者の航空業界での勤務経験を基に、記載されている日付時点の内容を航空法を勉強する人向けに解説するもので、法的手続き等に使用されることを想定していません。