航空法(昭和二十七年 法律第二百三十一号 航空法)を勉強したという人向けの解説です。航空法第1条「この法律の目的」の内容を解説します。(内容は2020年4月25日時点)
条文
第一章 総則
(この法律の目的)
第一条 この法律は、国際民間航空条約の規定並びに同条約の附属書として採択された標準、方式及び手続に準拠して、航空機の航行の安全及び航空機の航行に起因する障害の防止を図るための方法を定め、並びに航空機を運航して営む事業の適正かつ合理的な運営を確保して輸送の安全を確保するとともにその利用者の利便の増進を図ること等により、航空の発達を図り、もつて公共の福祉を増進することを目的とする。
航空法
解説
条文を理解するための特記的な解説は下記の通りです。
「国際民間航空条約の規定並びに同条約の附属書として採択された標準、方式及び手続」
国際民間航空条約というのは、1944年に採択された条約です。これにより国際連合の経済社会理事会の専門機関である国際民間航空機関(International Civil Aviation Organization(ICAO))が設立されました。
日本は1953年に国際民間航空機関に加盟しましたので、この年から国際民間条約の則り法令整備を行ってきました。
国際民間航空条約とその付属書(英語では “Annex” )が定める内容に準拠するというのがこの言葉の意味になります。
これらの内容はISARPsとして知られています。 “ICAO Standards and Recommended Practices” の頭文字を取ったものです。
直訳すると「国際民間航空機関の標準や同機関が推奨する方式」で、これが条文にある国際民間航空条約で定める「標準、方式及び手続」ということです。
航空機
航空機は、航空法の第2条に定義があり、抜粋すると「航空機とは人が乗つて航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他政令で定める機器をいう」となります。
あまり考えすぎず、一般的には「飛行機」や「ヘリコプター」と考えれば意味が通ります。
「航空機の航行の安全及び航空機の航行に起因する障害の防止を図るための方法を定め」
この部分は、飛行機等が安全に飛行できるようにインフラ設備を整えることや、障害を防止(環境・騒音等)する方法を定めることと読めます。
残りの部分は、条文をそのまま理解します。
航空運送事業の適正かつ合理的な運営を確保することを通して、安全の確保と利用者の利便の増進を図り、航空が発展し、公共福祉を増進する。
なお、当内容は筆者の航空業界での勤務経験を基に、記載されている日付時点の内容を航空法を勉強する人向けに解説するもので、法的手続き等に使用されることを想定していません。